ワン・ビン監督の『青春』、東京での上映がいったん5月24日までとなるそうです(全国順次公開中!)。
ワン・ビンといえば『鉄西区』とか『収容病棟』とか『死霊魂』とか、ガツンと食らう重めの作品が有名ですが、今回は長江デルタ地域の民間衣料品工場で働く若者たちに密着したドキュメンタリー。タイトルどおり、“青春”があふれています。
中国の町をふらふら歩いていると、地方から出稼ぎに来たのであろう若い人たちがビールの空き瓶を何本も並べてたむろしている光景によく出くわしたものですが、そんな彼らがどんな生活を送っていたのか、垣間見ることができて非常に面白かった。「おいおい、くわえタバコでミシン踏んでんの!?」とか、けっこうすごい環境で子供服が作られているという(そして一部輸入されている)衝撃とともに。
個人的には、女子が(たぶんかなり)ウザがっているのに、男子が気づかずベタベタしにいっちゃうあたりが結構リアルで、そんなところまで至近でつぶさに撮っているワン・ビン、改めて恐るべしと思いましたね。
撮影場所は民間工場ということで、賃金を上げろと交渉する従業員たちと、経営者との攻防という経済の面もカメラは丁寧に捉えています。撮影期間は、2014年からコロナ前の2019年までだそう。今はだいぶ状況が変わっているでしょうね。あの子たちがいた工場は今どうなっているのかな。
ちょっと話は違うけれども、先日中国の友人とおしゃべりしていて、コロナ禍を経て、今は安定している公務員や国有企業が若者の進路として大人気だという話になったことを思い出しました。
この作品、もう少し早く紹介したかったのですが、ちょっとバタバタしていまして…。ちなみにこのあと、5月29日発売の「華流ドラマガイド Vol.5」(コスミック出版)さんの映画ページでもご紹介しています。
『青春』
シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中
公式X:@wangbing_films